KISTでは、学びとは単に知識を得ることではなく、その知識を使って社会や身の回りに変化を生み出すことだと考えています。IB Primary Years Programme(PYP)では、この理念が「アクション」という形で具体化されます。アクションとは、子どもたちが教室で学んだことを日常生活や社会に活かす行動のことです。身近な行動の変化から、クラスや地域での協働プロジェクトまで、その形はさまざまです。しかし最も大切なのは、子ども自身が主体的に行い、学びとつながっていることです。
PYPにおけるアクションとは?
PYPのアクションは一律の形を持つものではなく、多様な形で現れます。
- 個人的な行動:学習環境を整え、集中できるようにする
- 家庭での行動:家族で物語を読んだり文化について話したりする時間を毎週作る
- 学校での行動:教室に静かな時間を過ごせるコーナーを作る
- 地域での行動:地域の図書館と協力して読書を促進する
これらのアクションは、探究学習から生まれます。子どもたちは年間を通してさまざまな探究ユニットに取り組み、好奇心を刺激され、学びを深め、自分が世界でどのような役割を果たせるかを考えるようになります。
アクションがなぜ重要なのか?
アクションを通じて、子どもたちは「自分には周囲に影響を与え、前向きな変化を起こせる」という感覚(Agency – 行為主体感)を育みます。また、IBの学習者像(Learner Profile)の「思いやり」「信念」「振り返り」の力を育てるとともに、「責任」「つながり」「変化」といった重要な概念を体験的に学ぶことができます。
しかし、アクションは必ずしも大きな行動である必要はありません。私たちは、単発のイベントよりも、小さくても継続的な行動を重視しています。例えば、募金活動は一度の貢献ですが、毎日クラスメイトを手助けする習慣は長期的な影響を生みます。
ご家庭と学校の連携:子供の主体的な行動を支える
学校だけでアクションの機会をつくることもできますが、最も力のある行動は、家庭と学校が連携したときに生まれます。保護者の皆さまは、日常生活の中で子どもたちにアクションの機会を意識させ、実行を支援する重要な役割を担っています。
ご家庭で子どもの行動をサポートする方法:
- 探究ユニットのテーマについて話し、子どもが何を学んでいるか聞いてみましょう
- 学びを振り返る時間を持つ:「学んだことを活かして、どうしたらもっとよくできるかな?」
- 小さな変化や工夫をほめる:たとえば、宿題の時間を自分で上手に計画できたときなど
- 親自身の行動で示す:日常生活で責任ある選択をして見せる
KISTでの学年別のアクション例
ここでは、2025–26年度の探究プログラムの例をもとに、学年ごとにアクションが学びとどうつながるかをご紹介します。
K1—Who We Are
ユニットのテーマ:私たちを助けてくれる人々
アクション例:地域の人々の役割を学んだ後、子どもがスクールナースに感謝のカードを作り、笑顔で届けました。この小さな行動が、他者への思いやりや役割への理解を育みます。
K2—How We Express Ourselves
ユニットのテーマ:ストーリーテリング
アクション例:子どもが自分の物語を録音し、図書の時間に年下の生徒たちに共有しました。自信や創造力を育むだけでなく、学校コミュニティへの貢献意識も養われます。
K3—Who We Are
ユニットのテーマ:食べ物
アクション例:子どもが家族のために健康的な食事ガイドを作り、週ごとの食事計画やおやつの提案をまとめました。この行動は家庭での健康意識を高め、情報に基づいた選択を促します。
Grade 1—Who We Are
ユニットのテーマ:人間関係
アクション例:子どもたちは「友情ツールキット」を作り、友達との対立を解決する方法や優しさを示す工夫をまとめました。クラスで活用し、仲間と共有することで、社会性や感情知能の向上につながります。
Grade 2—Who We Are
ユニットのテーマ:ロールモデル
アクション例:ロールモデルについて学んだ生徒が、自分に影響を与えてくれた家族に手紙を書き、朝のミーティングでみんなに紹介しました。この活動を通して、感謝の気持ちや自分を振り返る力が育まれます。
Grade 3—How We Express Ourselves
ユニットのテーマ:個人のアイデンティティ
アクション例:生徒たちは「Me Museum/私のミュージアム」を作り、自分を表す作品や物語を展示しました。クラスメイトや保護者を招き、自己認識と相互尊重の意識を育てます。
Grade 4—How We Organize Ourselves
ユニットのテーマ:政治の仕組み
アクション例:クラス内で模擬政府を設置し、役割と責任を担いながら改善案を話し合う週次ミーティングを行いました。協働や市民としての責任感を育む活動です。
Grade 5—Who We Are
ユニットのテーマ:変化
アクション例:子どもたちはLSPに進級するための「トランジション・ツールキット」を作成し、アドバイスやチェックリスト、振り返りをまとめて下級生に紹介しました。変化を支えるとともに、リーダーシップを発揮する活動です。
アクションの記録方法
子どもたちは、自分の行動を振り返り、記録することで学びを深めます。工夫次第で楽しみながら残せる方法の例をご紹介します。
- アクションジャーナル:何をしたか、なぜそれが大切かを書き留める
- 写真日記:行動の瞬間を写真に残す
- 変化の記録表:前後の変化を見える化する
- 発表:クラスや家族に伝える
- ポッドキャストやブログ:デジタルで発信する
- インフォグラフィック:視覚的に成果や影響を示す
注意点
アクションはただ行えばよいわけではありません。保護者として見守るときのポイントは:
- 大きいことがすべてではない:小さな行動をコツコツ続ける方が大きな成果につながる
- 寄付と変化の違い:寄付は素晴らしいですが、問題を理解し、解決策を考えることがさらに大切
- 生徒主体で:教師や大人の指示だけではなく、子ども自身の興味や意欲から行動が生まれるようにする
- 継続が力になる:一度の行動は始まりに過ぎません。習慣として続けることで本当の変化が生まれます
- 振り返りも行動の一部:考え方を変えることも、行動と同じくらい重要です
最後に
KISTでは、知識だけでなく、思いやりと行動力を持つ「変革者」となる子どもたちの育成に力を入れています。アクションは、学びと日常生活をつなぐ大切な架け橋です。ご家庭のサポートによって、子どもたちは最初の一歩を踏み出し、その歩みを続けることができます。
一緒に、子どもたちのアクションを、主体的で個々に寄り添った、そして長く続くものにしていきましょう。








